
Gラボ Vol.002|AIカメラの人流計測はどこまで正確?実環境で精度を検証
Gラボ レポート vol.002
調査「各社AIカメラの精度を測定」人流計測編
AIカメラを導入する際、気になるのが「実際にどのくらい正確に検知できるのか?」という点ではないでしょうか。
AIの性能を示す数値や評価結果を目にする機会は増えていますが、実際の現場では、設置場所やカメラの角度、明るさ、人の重なりなど、さまざまな条件がAIの検知精度に影響します。
そこで今回のGラボでは、AIカメラによる「人流計測」に注目します。
人流計測の仕組みや活用方法を解説するとともに、実際の屋外環境で行われた測定結果をもとに、AIの精度について考えてみます。
目次[非表示]
Gラボとは?
Gラボ(Good Laboratory)は、POLICENETが監視カメラやAIカメラに関する製品・技術を実際に検証し、その結果を発信する検証コンテンツです。
市販カメラとの接続検証やAI解析、クラウド技術などについて、カタログスペックだけでは分かりにくい「実際の環境でどこまで使えるのか」という視点から検証していきます。
Vol.002のテーマは、AIによる人流計測の精度です。
AIカメラによる人流計測とは?
人流計測とは、カメラ映像などを利用して、特定の場所を通過した人数や移動方向、エリア内の人数などを計測する仕組みです。
従来は、調査員が現地に立ち、カウンターなどを使って通行人数を数える方法も一般的でした。
AIによる画像解析を活用すると、カメラ映像から人物を検知し、自動的に人数や移動状況を計測できます。
これにより、
- 長時間の継続計測
- 時間帯別の分析
- 入退場人数の把握
- 複数地点の同時計測
- 現地での計測作業の省力化
などが可能になります。
人流計測は、防犯だけでなく、施設運営やマーケティング、都市計画など幅広い分野で活用できるAI技術です。
AIはどのように人の流れを計測する?

AIによる人流計測は、大きく2つのステップで行われます。
1.映像から「人」を検知する
まず、カメラで撮影した映像をAIが解析し、映像の中から人物を検知します。
単純に「映像の中で何かが動いた」ことを検知する動体検知とは異なり、AIによる画像認識を活用することで、人や車両など対象を分類しながら検知できることが特徴です。
これにより、木の揺れや光の変化などを人物としてカウントしてしまう誤検知を抑えやすくなります。
2.人物の位置と移動方向を解析する
次に、検知した人物の位置や移動を追跡します。
カメラ映像上に、
「エリア」
または、
「境界線(ライン)」
を設定し、その範囲と検知した人物の位置関係から人の流れを計測します。
エリアを設定する場合
特定の範囲を指定することで、
- エリア内にいる人数
- エリアへ入った人数
- エリアから出た人数
- 一定時間滞在している人数
などを計測できます。
境界線を設定する場合
映像上に仮想的なラインを設定し、そのラインを人物がどちらの方向へ通過したかを判定します。
例えば、
入口 → 店内:入場
店内 → 入口:退場
として計測すれば、入場者数と退場者数をそれぞれ集計できます。
人流計測はどんな場所で活用できる?
AIによる人流計測は、さまざまな場所で活用できます。
活用場所 | 活用イメージ |
|---|---|
商業施設 | 来店者数・フロア間移動の把握 |
店舗 | 入店者数・時間帯別来店分析 |
イベント会場 | 入退場者数・混雑状況の把握 |
駅・公共施設 | 通行人数・移動方向の分析 |
工場 | 作業エリアへの入退場把握 |
オフィス | エリアごとの利用状況把握 |
スマートシティ | エリア別・時間帯別の人流分析 |
単純な人数カウントだけでなく、「いつ・どこに・どのくらい人がいるのか」をデータとして把握できることが、人流計測の大きなメリットです。
AIによる混雑状況の把握
人流計測を応用すると、施設内の混雑状況を推定することもできます。
例えば、施設の出入口で入場者数と退場者数を計測し、
入場人数 − 退場人数
を継続的に集計することで、施設内に滞在している人数の目安を把握できます。
こうしたデータを施設管理者が確認することで、
- 混雑する時間帯の把握
- スタッフ配置の見直し
- 来場者への混雑情報提供
- 施設運営の改善
などに活用できます。
防犯カメラとして設置したカメラ映像をAI解析することで、安全管理だけでなく施設運営のためのデータとして活用できる可能性があることもAIカメラの特徴です。
AIカメラの人流計測精度はどのくらい?
ここで重要になるのが、AIの「精度」です。
AIカメラの紹介では高い認識率が示されることがありますが、AIの精度は一定ではありません。
実際の環境では、
- カメラの設置角度
- 撮影距離
- 人物の大きさ
- 明るさ
- 逆光
- 雨や雪
- 人同士の重なり
- 混雑状況
- カメラの画質
- AIモデル
などによって結果が変わります。
そのため、AIの精度を比較する際は「何%だったか」だけでなく、「どのような環境・条件で測定したのか」を確認することが重要です。
Gラボ検証|屋外環境で人流計測の精度を比較
Gラボでは、スマートシティ関連の実環境において行われた人流計測の測定結果を確認しました。
屋外に設置した監視カメラ映像を利用し、エッジAIで人物を解析する条件で計測しています。
また、映像をクラウドへ送信・保存せず、現地側で解析することで、プライバシーにも配慮した構成で実施されました。
その中から、上位5社の測定結果を紹介します。
企業 | 測定精度 |
|---|---|
CREW SYSTEMS | 95% |
N社 | 94% |
C社 | 93% |
A社 | 89% |
B社 | 84% |
※特定の実証環境・測定条件における結果です。すべての設置環境や利用条件において同等の精度を保証するものではありません。
今回の測定では、CREW SYSTEMSのAIが**95%**という結果となりました。
一方、上位企業間では数ポイント程度の差であるのに対し、80%台となったシステムもあり、同じ「AIによる人流計測」であっても結果に差が出ることが確認できます。
なぜAIによって精度に差が出る?
AIカメラという名称だけを見ると、どの製品でも同じように人物を検知できると思われるかもしれません。
しかし実際には、AIモデルや映像処理方法などによって結果が変わります。
特に屋外では、
人が重なる
影が発生する
時間帯によって明るさが変化する
雨・雪などの影響を受ける
といった複雑な条件があります。
そのため、AIカメラを導入する際には、カタログ上の精度だけで判断するのではなく、実際に使用する環境に近い条件で検証することが重要です。
エッジAIなら映像を送信せずに解析できる

人流計測では、映像に多くの人物が映るため、プライバシーへの配慮も重要になります。
その方法の一つが「エッジAI」です。
エッジAIでは、カメラ映像をすべてクラウドへ送信して解析するのではなく、カメラの設置場所に近いエッジ機器でAI解析を行います。
例えば、
カメラ → エッジAI → 人数などの解析結果のみをクラウドへ送信
という構成が可能です。
この方式には、
- 映像データの外部送信を抑えられる
- 通信量を削減できる
- 通信環境への依存を抑えられる
- AI解析結果だけをクラウドで管理できる
といったメリットがあります。
人流計測のように、「誰が映っているか」ではなく「何人いるか」というデータが重要な用途では、エッジAIと相性の良いケースがあります。
AI人流計測を導入する前に確認したいポイント
AIによる人流計測を検討する場合は、次の項目を整理しておきましょう。
確認項目 | ポイント |
|---|---|
計測目的 | 入退場・混雑・通行量など何を知りたいか |
計測場所 | 屋内・屋外・入口・通路など |
カメラ位置 | 人物を適切な角度・大きさで撮影できるか |
混雑度 | 人物同士の重なりがどの程度発生するか |
夜間利用 | 暗所でも計測する必要があるか |
必要精度 | どの程度の誤差まで許容できるか |
データ利用 | リアルタイム確認・統計分析など |
プライバシー | 映像を保存するか、解析結果のみ扱うか |
特に重要なのが、「100%の精度」を前提にシステムを設計しないことです。
利用目的に対してどの程度の精度が必要なのかを定め、その条件を満たせるか実環境で確認することが重要です。

POLICENETからのコメント
AIカメラを選定する際、「AI搭載」という言葉だけでは性能を判断できません。
重要なのは、実際に使用する環境で、目的とする対象をどの程度正確に検知できるかです。
今回の人流計測のように、屋外環境では光や影、人の重なりなど、AIにとって難しい条件が数多く発生します。
そのためPOLICENETでは、単にAI機能を導入するのではなく、
「何を検知したいのか」
「どの程度の精度が必要なのか」
「どのような環境で利用するのか」
を整理したうえで、AI・カメラ・設置環境を組み合わせることが重要だと考えています。
まとめ
AIによる人流計測を活用すると、カメラ映像から人物を検知し、入退場人数や移動方向、エリア内の人数などを自動的に計測できます。
これまで人が行っていた計測作業を効率化できるだけでなく、商業施設や公共施設、スマートシティなどにおける混雑把握や施設運営にも活用できます。
一方、AIの精度は、設置環境や撮影条件、AIモデルなどによって変化します。
「AIだから高精度」と考えるのではなく、実際の利用環境で検証し、目的に対して必要な精度を満たしているかを確認することがAIカメラ選びの重要なポイントです。
Gラボでは、今後もPOLICENETで利用するAIやカメラ、関連技術を実際に検証し、その結果を紹介していきます。
~・~ この記事を読んだ方におススメの記事 ~・~
