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無人店舗×防犯対策|リスクと対策費用、成功事例から学ぶ効果的なセキュリティ構築

無人店舗の開業や運営で防犯対策にお悩みではありませんか?この記事を読めば、無人店舗特有の万引きや破壊行為といったリスクから、防犯カメラ・入退室管理・各種センサー導入などの具体的なセキュリティ対策、その費用相場、さらには業種別のポイントや成功事例まで網羅的に理解できます。コスト削減と安全確保を両立させる効果的な防犯体制を構築し、安心して無人店舗を運営するための実践的な知識が得られます。





目次[非表示]

  1. 1.なぜ無人店舗の防犯対策が重要なのか
    1. 1.1.無人店舗を取り巻く現状と市場の拡大
    2. 1.2.無人店舗特有の防犯リスクとは
      1. 1.2.1.万引き 窃盗のリスク
      2. 1.2.2.破壊行為 いたずらのリスク
      3. 1.2.3.不正利用 不法占拠のリスク
      4. 1.2.4.個人情報漏洩のリスク
  2. 2.無人店舗で実施すべき基本的な防犯対策
    1. 2.1.防犯カメラ 監視カメラの設置と選び方
      1. 2.1.1.設置場所のポイント
      2. 2.1.2.高画質カメラ AIカメラの活用
      3. 2.1.3.遠隔監視システムの重要性
    2. 2.2.入退室管理システムの導入による無人店舗の防犯対策
      1. 2.2.1.スマートロック 顔認証 指紋認証
      2. 2.2.2.利用者登録と本人確認
    3. 2.3.各種センサーによる異常検知と防犯対策
      1. 2.3.1.人感センサー 侵入センサー
      2. 2.3.2.破壊検知センサー
    4. 2.4.緊急通報システムと警備会社連携による防犯対策
      1. 2.4.1.非常ボタンの設置
      2. 2.4.2.警備会社の駆けつけサービス
    5. 2.5.店舗レイアウトと商品陳列の工夫による防犯対策
    6. 2.6.防犯意識を高める掲示物 ステッカーの活用
  3. 3.無人店舗の防犯対策にかかる費用相場
    1. 3.1.初期導入費用
      1. 3.1.1.防犯カメラシステム費用
      2. 3.1.2.入退室管理システム費用
      3. 3.1.3.センサー設置費用
      4. 3.1.4.工事費用
    2. 3.2.月額ランニングコスト
      1. 3.2.1.クラウド録画 遠隔監視サービス費用
      2. 3.2.2.警備会社連携費用
      3. 3.2.3.システム保守費用
    3. 3.3.費用対効果を高めるポイント
    4. 3.4.活用できる補助金 助成金情報
  4. 4.業種別に見る無人店舗の防犯対策ポイント
    1. 4.1.無人コンビニ・無人小売店の防犯対策
    2. 4.2.無人フィットネスジムの防犯対策
    3. 4.3.無人コインランドリーの防犯対策
    4. 4.4.無人コワーキングスペースの防犯対策
  5. 5.無人店舗の防犯対策 成功事例紹介
    1. 5.1.事例1 最新AIカメラで万引きを大幅削減した無人コンビニエンスストア
    2. 5.2.事例2 入退室管理と遠隔監視で安全な空間を実現した24時間無人フィットネスジム
    3. 5.3.事例3 地域連携と防犯システムで安心運営を実現した無人コインランドリー
  6. 6.防犯対策を怠った場合のリスクと失敗談
    1. 6.1.実際に起きたトラブル事例
    2. 6.2.対策不足が招く経済的損失と信用の失墜
  7. 7.無人店舗の防犯対策に関するよくある質問 FAQ
    1. 7.1.防犯カメラの映像はどのくらい保存すべきか
    2. 7.2.警備会社はどこを選べばよいか
    3. 7.3.トラブル発生時の対応フローは
  8. 8.まとめ

なぜ無人店舗の防犯対策が重要なのか

近年、テクノロジーの進化や社会情勢の変化を背景に、無人店舗という新しいビジネスモデルが急速に広がりを見せています。しかし、その利便性の裏側には、有人店舗とは異なる特有の防犯リスクが潜んでいます。無人店舗の安定した運営と持続的な成長のためには、適切な防犯対策が不可欠です。この章では、無人店舗を取り巻く現状と、なぜ防犯対策が重要なのか、その理由となる具体的なリスクについて詳しく解説します。


無人店舗を取り巻く現状と市場の拡大

深刻化する人手不足、人件費の高騰、そして新型コロナウイルス感染症の拡大による非接触ニーズの高まりなど、様々な要因が後押しとなり、無人店舗の導入が加速しています。コンビニエンスストアや小売店だけでなく、フィットネスジム、コインランドリー、コワーキングスペース、さらにはオフィスや工場の一部など、多様な業種・業態で無人化・省人化の動きが活発になっています。
無人店舗は、24時間営業の実現による顧客利便性の向上、人件費を中心とした運営コストの削減、省スペースでの出店が可能といったメリットをもたらします。市場調査会社のレポートによれば、国内の無人店舗関連市場は今後も拡大傾向が続くと予測されており、新しいビジネスチャンスとして注目されています。
しかし、この市場の成長と裏腹に、防犯上の課題も浮き彫りになっています。スタッフが常駐しない、あるいは極端に少ないという環境は、犯罪者にとって狙いやすい状況を生み出す可能性があるため、事業者はメリットを享受すると同時に、リスクへの備えを徹底する必要があります。


無人店舗特有の防犯リスクとは

スタッフが不在となる無人店舗では、従来の店舗とは異なる性質の防犯リスクが存在します。これらのリスクを正確に把握し、事前に対策を講じることが、被害を未然に防ぎ、安全で安心な店舗環境を維持する上で極めて重要です。主なリスクとしては、以下の点が挙げられます。


万引き 窃盗のリスク

無人店舗で最も懸念されるリスクの一つが、万引きや窃盗です。監視の目が少ないという心理的な隙を突かれ、商品を持ち去られる被害が後を絶ちません。また、商品だけでなく、レジ内の現金(自動精算機など)や、高価な設備・備品が盗難のターゲットになる可能性もあります。特に、換金性の高い商品や小型の電子機器などは注意が必要です。



破壊行為 いたずらのリスク

故意による店舗設備の破壊や、商品へのいたずらも深刻なリスクです。自動ドアや窓ガラス、自動販売機、券売機、陳列棚、監視カメラなどが破壊されると、高額な修繕費用が発生するだけでなく、店舗の営業停止に追い込まれる可能性もあります。また、商品への異物混入や落書きといった悪質ないたずらは、店舗の評判を著しく損なう原因となります。


不正利用 不法占拠のリスク

料金を支払わずにサービスを利用する不正利用や、店舗内に長時間居座る、あるいは寝泊まりするといった不法占拠も問題となります。特に、24時間営業の店舗では、深夜帯にホームレスや若者の溜まり場となりやすく、他の利用者に不安感を与えたり、治安の悪化を招いたりする恐れがあります。場合によっては、薬物取引など、より深刻な犯罪の温床となる危険性も否定できません。


個人情報漏洩のリスク

会員制の無人店舗やキャッシュレス決済を導入している店舗では、顧客の個人情報や決済情報を取り扱います。入退室管理システムや決済端末への不正アクセス、あるいは内部関係者による情報持ち出しなどにより、氏名、住所、電話番号、クレジットカード情報といった機密情報が漏洩するリスクがあります。個人情報の漏洩は、顧客からの信頼を完全に失墜させ、損害賠償請求や行政処分につながる可能性のある、極めて重大な問題です。
これらのリスクは単独で発生するだけでなく、複合的に発生することもあります。以下の表は、無人店舗における主な防犯リスクとその影響をまとめたものです。


リスクの種類

具体例

主な影響

万引き・窃盗

・商品の持ち去り

・売上金・釣銭の盗難

・設備・備品の盗難

・直接的な経済損失

・商品・在庫ロスの増加

破壊行為・いたずら

・店舗設備(自動ドア、券売機、什器等)の破壊

・商品への異物混入

・落書き

・修繕費用の発生

・営業停止による機会損失

・ブランドイメージの低下

不正利用・不法占拠

・料金未払いでのサービス利用

・長時間滞在

・ホームレスによる寝泊まり

・犯罪の温床化

・収益機会の損失

・他の利用者への迷惑・不安感

・治安悪化、法的責任

・ブランドイメージ低下

個人情報漏洩

・会員情報・決済情報等の不正取得・流出

・利用者からの信頼失墜

・損害賠償請求

・法規制違反・行政処分

・ブランドイメージの著しい低下


このように、無人店舗の運営には様々なリスクが伴います。これらのリスクを最小限に抑え、顧客と資産を守り、事業を成功させるためには、計画的かつ多角的な防犯対策の導入が不可欠なのです。


無人店舗で実施すべき基本的な防犯対策

無人店舗の運営において、防犯対策は事業の継続性と顧客の安全を守るための最重要課題の一つです。ここでは、無人店舗で実施すべき基本的な防犯対策について、具体的な方法とそのポイントを解説します。


防犯カメラ 監視カメラの設置と選び方

防犯カメラは、無人店舗における防犯対策の基本中の基本です。犯罪抑止効果と、万が一の際の証拠撮影という二つの重要な役割を担います。設置場所やカメラの性能、監視体制を適切に構築することが求められます。



設置場所のポイント

防犯カメラの効果を最大限に引き出すためには、設置場所の選定が極めて重要です。死角をなくし、必要な情報を確実に捉えられるよう、以下のポイントを参考に設置場所を検討しましょう。


設置場所

主な目的

注意点

店舗出入口

入店者・退店者の顔や全身の撮影

逆光にならないよう設置角度やカメラ性能(WDR機能など)を考慮する。

レジ周り(セルフレジ含む)

金銭授受、不正スキャン、置き引き等の監視

手元の操作や金銭の動きが鮮明に映るよう、解像度の高いカメラを選ぶ。

商品棚・陳列スペース

万引き行為の監視、商品へのいたずら防止

広範囲をカバーできる画角のカメラや、複数台設置で死角をなくす。

死角になりやすい場所(通路の角、柱の影など)

隠れての不正行為や破壊行為の防止

広角レンズやドーム型カメラ、ミラーなどを活用する。

バックヤード・スタッフルーム(必要な場合)

関係者以外の侵入防止、内部不正の抑止

従業員のプライバシーに配慮し、設置目的を明確にする。

駐車場・駐輪場(ある場合)

車上荒らし、車両へのいたずら防止、利用者の安全確保

夜間でも鮮明に撮影できる赤外線機能付きカメラや、防水・防塵性能の高い屋外用カメラを選ぶ。


なお、更衣室やトイレの内部など、プライバシーに関わる場所へのカメラ設置は避ける必要があります。設置場所のプライバシーポリシーを明示することも検討しましょう。


高画質カメラ AIカメラの活用

防犯カメラの性能は日々進化しています。特に高画質化とAI技術の搭載は、無人店舗の防犯レベルを大きく向上させます。


● 高画質カメラ:フルHD(約200万画素)以上の高解像度カメラは、人物の顔や服装の特徴、不正行為の瞬間などを鮮明に記録できます。これにより、証拠としての価値が高まり、犯人の特定につながりやすくなります。4K対応カメラであれば、さらに詳細な映像記録が可能です。

● AIカメラ:AI(人工知能)を搭載したカメラは、単に映像を記録するだけでなく、映像データを解析して異常を検知する能力を持ちます。例えば、長時間滞在する人物、転倒、喧嘩、棚の商品を隠すような不審な動きなどを自動で検知し、管理者に通知することができます。また、来店者の属性分析(年齢、性別など)を行い、マーケティングデータとして活用できる機種もあります。



これらの高機能カメラは導入コストが高くなる傾向がありますが、防犯効果の向上や、場合によっては人件費削減にもつながるため、費用対効果を十分に検討する価値があります。


遠隔監視システムの重要性

無人店舗では、リアルタイムで店舗の状況を把握できる遠隔監視システムが不可欠です。インターネット回線を通じて、オーナーや管理者がスマートフォンやパソコンからいつでもどこでも店舗のライブ映像や録画映像を確認できます。
遠隔監視システムのメリットは以下の通りです。


● 異常の早期発見:不審な動きやトラブルの兆候をリアルタイムで察知し、迅速な対応が可能になります。

● 心理的な抑止効果:「常に見られている」という意識が働き、犯罪を思いとどまらせる効果が期待できます。

● 複数店舗の一元管理:複数の無人店舗を運営している場合でも、一か所で効率的に状況を把握できます。

● クラウド録画連携:録画データをクラウド上に保存することで、店舗内の録画機器が破壊されたり盗まれたりしても、証拠映像が消失するリスクを低減できます。


安定した通信環境の確保と、セキュリティ対策が施された信頼性の高いサービスを選ぶことが重要です。


入退室管理システムの導入による無人店舗の防犯対策

無人店舗では、誰がいつ入店・退店したかを正確に記録・管理することが、不正利用防止の鍵となります。入退室管理システムは、許可された利用者のみの入店を可能にし、セキュリティレベルを高めます。


スマートロック 顔認証 指紋認証

多様な認証方式が存在し、店舗の特性やセキュリティ要件に合わせて選択します。


認証方式

メリット

デメリット

主な導入例

スマートロック(暗証番号、スマホアプリ)

・物理的な鍵が不要

・導入が比較的容易

・遠隔での施錠・解錠が可能

・暗証番号の漏洩リスク

・スマホの紛失・電池切れリスク

・小規模店舗

・コワーキングスペース

顔認証

・手ぶらで認証可能

・なりすましが困難

・非接触で衛生的

・導入コストが高い

・マスク着用時や照明環境により認証精度が低下する場合がある

・フィットネスジム

・オフィス

・高セキュリティ店舗

指紋認証

・なりすましが極めて困難

・認証精度が高い

・接触が必要

・指の状態(乾燥、濡れ、怪我など)により認証できない場合がある

比較的小規模な会員制施設

ICカード(交通系IC、専用カード)

・既存のカードを利用できる場合がある

・導入コストが比較的低い

カードの紛失・盗難・貸し借りリスク

・コインランドリー

・会員制ジム

QRコード

・スマホで表示でき手軽

・一時的な利用許可に適している

・スクリーンショット等による不正利用リスク

・スマホが必要

・時間貸しスペース

・イベント会場


これらのシステムを組み合わせることで、さらにセキュリティを高めることも可能です(例:ICカード認証+暗証番号)。


利用者登録と本人確認

入退室管理システムを効果的に運用するためには、利用者の事前登録と確実な本人確認が不可欠です。多くの無人店舗では、専用アプリやWebサイトを通じて、以下の情報を登録してもらいます。

  • 氏名
  • 連絡先(電話番号、メールアドレス)
  • 住所
  • 決済情報(クレジットカードなど)
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの画像アップロード)


特に本人確認は重要であり、提出された書類と登録情報の一致を目視で確認したり、初回のみ有人カウンターやオンラインで確認したりするプロセスを設けることで、不正利用のリスクを大幅に低減できます。利用規約への同意も必須とし、禁止事項やトラブル発生時の対応について明記しておくことが大切です。


各種センサーによる異常検知と防犯対策

防犯カメラだけではカバーしきれない死角や、目に見えない異常事態を検知するために、各種センサーの設置が有効です。カメラ映像と連動させることで、より迅速かつ正確な状況把握が可能になります。


人感センサー 侵入センサー

人の動きやドア・窓の開閉を検知するセンサーです。


● 人感センサー(赤外線センサー、モーションセンサー): 人の体温や動きを検知します。営業時間外の不審な動きや、立ち入り禁止エリアへの侵入を検知し、警告音を発したり、管理者に通知したりします。照明や空調と連動させることも可能です。

● 侵入センサー(ドアセンサー、窓センサー): ドアや窓の開閉を検知します。営業時間外に不正に開けられた場合に異常を知らせます。防犯カメラと連動させ、開閉があったタイミングの映像を自動的に記録・通知する設定も有効です。


これらのセンサーは、比較的安価で設置も容易なものが多く、基本的な防犯対策として広く導入されています。


破壊検知センサー

店舗設備や什器への物理的な破壊行為を検知するセンサーです。


● ガラス破壊センサー:窓ガラスが割られた際の特有の音や振動を検知します。

● 振動センサー:壁、ドア、自動販売機、券売機などに取り付け、衝撃や振動を検知します。こじ開けや破壊行為の初期段階で異常を捉えることができます。


特に現金や高額商品を取り扱う可能性がある設備周辺への設置が効果的です。


緊急通報システムと警備会社連携による防犯対策

万が一、店舗内で犯罪や急病などの緊急事態が発生した場合に備え、迅速な通報と対応ができる体制を整えておくことが重要です。


非常ボタンの設置

店内にいる利用客や、巡回中のスタッフが身の危険を感じたり、異常事態を発見したりした際に、ボタン一つで外部に助けを求めることができるシステムです。押されると、警備会社や店舗管理者に直接通報され、迅速な対応につながります。
設置場所は、レジ付近、店舗の奥まった場所、トイレの入口付近など、利用者の目につきやすく、かつ緊急時にすぐに押せる場所が望ましいです。ボタンの存在と使用方法を分かりやすく表示しておくことも重要です。


警備会社の駆けつけサービス


センサーが異常を検知した場合や、非常ボタンが押された場合に、契約している警備会社の警備員が現場に急行するサービスです。警察への通報と連携し、被害の拡大防止や犯人の確保、利用者の安全確保に努めます。
警備会社との契約時には、以下の点を確認しましょう。

  • 駆けつけまでの目標時間
  • 対応可能な時間帯(24時間365日か)
  • 料金体系(月額基本料、駆けつけごとの費用など)
  • サービス内容(現場確認、警察への通報、応急処置など)


信頼できる警備会社と連携することで、無人店舗の運営における安心感を大きく高めることができます。


店舗レイアウトと商品陳列の工夫による防犯対策

防犯設備だけでなく、店舗の物理的な環境を工夫することでも、犯罪が起こりにくい状況を作り出すことができます。これは「環境設計による犯罪予防(CPTED: Crime Prevention Through Environmental Design)」と呼ばれる考え方に基づいています。


● 見通しの確保:店舗全体を見渡しやすく、死角を極力なくすレイアウトにします。高い棚や大きな什器の配置に注意し、通路を広く取ります。

● 明るい照明:店内全体を明るく保ちます。特に夜間は、外から見ても店内の様子が分かる程度の明るさを確保することで、侵入抑止効果が期待できます。

● 商品陳列の工夫:高価な商品や、万引きされやすい小さな商品は、レジ近くや店員の目が行き届きやすい場所に置きます。必要であれば、鍵付きのショーケースに陳列します。

● 鏡の活用:死角になりやすい場所に鏡を設置し、視認性を高めます。

● 出入口周辺の整理:出入口付近に物を置かず、スムーズな出入りと外部からの視認性を確保します。


これらの工夫は、利用者に安心感を与え、快適な利用環境を提供することにもつながります。


防犯意識を高める掲示物 ステッカーの活用

「防犯カメラ作動中」「監視システム設置店」「不正行為は直ちに警察に通報します」といった警告文言を記載したステッカーやポスターを掲示することも、手軽で効果的な防犯対策の一つです。
これらの掲示物は、犯罪を企む者に対して「見られている」「記録されている」「発覚すれば通報される」という心理的なプレッシャーを与え、犯行を思いとどまらせる抑止効果が期待できます。
設置場所は、店舗の出入口や窓、レジ周りなど、目立つ場所が効果的です。デザインは、シンプルで視認性が高く、メッセージが明確に伝わるものを選びましょう。ただし、過度に威圧的な表現は避け、利用者に不安感を与えないよう配慮することも大切です。


無人店舗の防犯対策にかかる費用相場

無人店舗の運営において、防犯対策は必須の投資です。しかし、具体的にどれくらいの費用がかかるのか、見当がつかないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、無人店舗の防犯対策にかかる初期導入費用と月額ランニングコストの相場、そして費用対効果を高めるポイントや活用できる補助金について詳しく解説します。
事前に費用感を把握し、適切な予算計画を立てることが、無理のない店舗運営と確実なセキュリティ体制の構築につながります。


初期導入費用

初期導入費用は、防犯システムや関連機器の購入、設置工事など、導入時に一度だけ発生するコストです。導入するシステムの規模や種類、店舗の広さなどによって大きく変動します。


防犯カメラシステム費用

防犯カメラシステムは、無人店舗のセキュリティの根幹をなす重要な設備です。カメラ本体の費用に加え、録画装置(NVR/DVR)、モニター、設置工事費などが必要になります。
カメラの種類(ドーム型、バレット型、PTZカメラ、AI機能搭載カメラなど)、設置台数、画質(フルHD、4Kなど)、必要な機能(暗視機能、防水防塵性能など)によって費用は大きく異なります。

項目

費用相場(目安)

備考

カメラ本体(1台あたり)

2万円~20万円以上

機能や性能により大きく変動。AIカメラは高価になる傾向。

録画装置(NVR/DVR)

5万円~30万円以上

接続可能台数や録画容量により変動。

設置・設定工事費

10万円~50万円以上

カメラ台数、配線の複雑さ、設置場所により変動。

システム全体(小規模店舗例:カメラ4台程度)

30万円~100万円程度

選定する機器や工事内容によって変動



高画質カメラやAIカメラは初期費用が高くなりますが、証拠能力の向上や異常検知精度の向上といったメリットがあります。


入退室管理システム費用

不正な入店を防ぎ、利用者を特定するために重要なシステムです。スマートロック、カードリーダー、認証端末(顔認証、指紋認証など)、管理用ソフトウェア、設置工事費などが含まれます。
認証方式(暗証番号、ICカード、生体認証など)や管理するドアの数、連携機能(予約システム連携など)によって費用が変わります。


項目

費用相場(目安)


備考

スマートロック(1台あたり)

3万円~15万円程

機能や通信方式により変動

認証リーダー(1台あたり)

5万円~30万円以上

ICカード、顔認証、指紋認証など方式により変動。生体認証は高価。

管理システム・ソフトウェア

10万円~50万円以上

管理規模や機能により変動。クラウド型の場合は月額費用が発生することも。

設置・設定工事費

5万円~30万円以上

設置箇所数や配線工事の有無により変動。

システム全体(1ドア管理の場合)

20万円~80万円程度

選定する機器や認証方式によって変動。


顔認証や指紋認証などの生体認証は、なりすましが困難でセキュリティレベルが高い反面、導入コストが高くなる傾向があります。


センサー設置費用

侵入や破壊行為などを検知するためのセンサー設置費用です。人感センサー、窓やドアの開閉を検知する侵入センサー、ガラス破壊などを検知する破壊検知センサーなどがあります。センサー本体の費用と設置工事費が必要です。

項目

費用相場(目安)

備考

各種センサー

(1個あたり)

5,000円~5万円程度

センサーの種類や検知精度により変動。

設置・設定工事費

数万円~

設置個数や配線作業により変動。防犯カメラや警備システムと同時に設置することが多い。


設置場所や目的に合わせて適切な種類のセンサーを選ぶことが重要です。


工事費用

上記の各システム費用に含まれる場合もありますが、配線工事、機器の取り付け、ネットワーク設定など、システム導入に伴う総合的な工事費用です。店舗の構造(壁の材質、天井高など)、導入するシステムの数や複雑さ、既存設備との連携の有無などによって大きく変動します。
複数のシステム(防犯カメラ、入退室管理、センサーなど)を同時に導入する場合、配線などをまとめて行えるため、個別に導入するよりも工事費用を抑えられる可能性があります。必ず事前に複数の専門業者から見積もりを取り、工事内容と費用を比較検討しましょう


月額ランニングコスト

月額ランニングコストは、システムの維持管理やサービス利用のために継続的に発生する費用です。主に、クラウドサービスの利用料、警備会社への委託費用、システムの保守費用などが挙げられます。


クラウド録画 遠隔監視サービス費用

防犯カメラの映像をインターネット経由でクラウドサーバーに保存・管理するための費用です。遠隔地からスマートフォンやPCでリアルタイム映像や録画映像を確認できるサービスも含まれます。


項目

費用相場(目安)

備考

クラウド録画サービス(カメラ1台あたり月額)

1,000円~5,000円程度

録画期間、画質、利用機能(動体検知通知など)により変動。

遠隔監視サービス

上記クラウド録画費用に含まれる場合が多い。

別途オプション費用が発生する場合もある。


録画データの保存期間は、業種やリスクに応じて適切に設定する必要があります。長期間保存する場合はコストが増加します。


警備会社連携費用

センサーが異常を検知した場合や、非常ボタンが押された場合に、警備員が現場に駆けつけるサービス(駆けつけ警備)や、定期的な巡回、機器の死活監視などを警備会社に委託するための費用です。国内大手のセコムやALSOKなどが有名ですが、地域密着型の警備会社もあります。

項目

費用相場(目安)

備考

オンラインセキュリティシステム(駆けつけ含む)

月額5,000円~3万円程度

契約プラン(駆けつけ回数制限の有無、対応時間帯など)、店舗の規模、センサーの数により変動。

定期巡回サービス(オプション)

月額数千円~数万円

巡回頻度や内容により変動。


契約内容によってサービスの範囲や質が異なるため、複数の警備会社を比較検討し、自店舗のニーズに合ったプランを選ぶことが重要です。


システム保守費用

導入した防犯システム(カメラ、入退室管理、センサーなど)が常に正常に作動するように、定期的なメンテナンスや故障時の修理・交換を行うための費用です。保守契約を結ぶことで、万が一のトラブル発生時にも迅速な対応が期待できます。

項目

費用相場(目安)

備考

年間保守契約


初期導入費用の5%~15%程度

契約内容(オンサイト保守、センドバック保守など)、対応時間、対象機器により変動。

スポット対応(都度払い)

数万円~/回

故障内容や作業時間により変動。緊急対応は高額になる場合がある。


保守契約を結んでおくことで、突発的な高額修理費用の発生リスクを抑え、システムの安定稼働につながります。


費用対効果を高めるポイント

無人店舗の防犯対策費用は決して安価ではありません。投資した費用に見合う効果を得るためには、以下の点を意識しましょう。


● リスク分析に基づくシステム選定自店舗の立地、業種、取扱商品などを考慮し、想定されるリスクを洗い出した上で、それに対応できる必要十分な機能を持つシステムを選びましょう。過剰なスペックはコスト増につながります。

● 複数業者からの相見積もり:システム導入時や警備会社の選定時には、必ず複数の業者から見積もりを取り、価格だけでなく、サービス内容、実績、サポート体制などを比較検討しましょう。

● 拡張性・将来性の考慮:将来的な店舗規模の拡大や、新しい技術の導入可能性も視野に入れ、拡張性のあるシステムを選ぶことも長期的なコスト削減につながる場合があります。

● リースやレンタルの活用:初期費用を抑えたい場合は、防犯機器のリースやレンタルサービスを利用することも有効な選択肢です。月額費用は発生しますが、導入時の負担を軽減できます。

● 補助金・助成金の活用:国や自治体が提供する補助金・助成金制度を活用できないか確認しましょう。(詳細は次項)

● 運用ルールの徹底と従業員教育(有人時間を設ける場合):システムの誤作動による警備員の不要な出動は、追加費用が発生する場合があります。正しい操作方法や運用ルールを徹底することが重要です。


活用できる補助金 助成金情報

無人店舗を含む中小企業や小規模事業者が防犯設備を導入する際に、国や地方自治体が費用の一部を補助する制度を設けている場合があります。
代表的なものとしては、以下のようなものが考えられますが、制度の名称、対象者、補助対象経費、申請期間などは年度や自治体によって異なります


● 事業再構築補助金:新分野展開や業態転換等に伴う設備投資の一部として、防犯システム導入費用が対象となる可能性があります。

● 小規模事業者持続化補助金:販路開拓等に加えて、生産性向上のための設備投資として認められる場合があります。

● 各都道府県・市区町村の防犯設備設置補助金:地域内の犯罪抑止を目的として、防犯カメラやセンサーライトなどの設置費用を補助する制度です。商店街単位での申請が必要な場合もあります。


これらの補助金・助成金は、公募期間が定められており、申請には事業計画書などの書類作成が必要です。最新の情報は、中小企業庁のウェブサイト「ミラサポplus」や、所在する都道府県・市区町村のウェブサイト、商工会議所・商工会などで必ず確認し、活用できる制度がないか検討しましょう。専門家(中小企業診断士など)に相談するのも良い方法です。


業種別に見る無人店舗の防犯対策ポイント

無人店舗と一口に言っても、その業種によって抱えるリスクや求められる防犯対策は異なります。ここでは、代表的な業種ごとに特有のリスクと、それに対応するための効果的な防犯対策のポイントを解説します。


無人コンビニ・無人小売店の防犯対策

24時間営業も多い無人コンビニや小売店では、商品の万引き・窃盗が最も警戒すべきリスクです。また、セルフレジの不正操作、深夜帯の強盗、設備の破壊行為なども想定されます。
効果的な対策としては、以下の点が挙げられます。


 防犯カメラの戦略的設置

  • 死角を徹底的になくす配置が重要です。特に、出入口、レジ周り、高額商品や万引きされやすい商品の陳列棚周辺は重点的に監視します。
  • 顔認識機能付きの高画質カメラや、不審な行動(長時間滞留、うろつき、商品を隠すような動作)を検知するAIカメラの導入が効果を発揮します。
  • 遠隔からリアルタイムで店内を確認できる監視システムは、異常発生時の迅速な状況把握に繋がります。

● 入退室管理の導入

  • 専用アプリやクレジットカード、交通系ICカードなどによる認証での入店制限は、不正入店や未成年者の入店を防ぐ上で有効です。
  • 深夜帯のみ入店認証を必須にするなど、時間帯に応じた運用も考えられます。

● 商品管理と陳列の工夫

  • ICタグ(RFID)や重量センサー付きの陳列棚を導入し、商品の持ち出しをリアルタイムで検知するシステムも有効です。
  • 高額商品は、より厳重な管理下に置くか、手の届きにくい場所に陳列するなどの工夫も必要です。
  • 見通しが良く、死角が生まれにくい店舗レイアウトを心がけます。

●  緊急時対応

  • 緊急通報ボタンを設置し、警備会社と連携して有事の際に迅速な駆けつけ対応ができる体制を整えます。


これらの対策を組み合わせることで、万引き抑止効果を高め、安全な店舗運営を目指します。

主なリスク

有効な対策例

万引き・窃盗

高画質・AI防犯カメラ、死角のない配置、ICタグ、重量センサー棚、入退室管理

セルフレジ不正操作

レジ周り専用カメラ、AIによる不審行動検知、遠隔監視

深夜帯の強盗

入退室管理(時間帯制限)、緊急通報ボタン、警備会社連携

破壊行為・いたずら

防犯カメラによる抑止・証拠撮影、破壊検知センサー、警備会社連携


無人フィットネスジムの防犯対策

無人フィットネスジムでは、会員以外の不正利用や時間外利用、トレーニング器具の盗難や破損、利用者間のトラブル、そして利用者の怪我や急病発生時の対応遅れが主なリスクとなります。更衣室での盗難にも注意が必要です。
対策のポイントは以下の通りです。



● 厳格な入退室管理

  • 顔認証、指紋認証、静脈認証、会員証QRコードなど、なりすましが困難な認証方式を採用し、会員本人以外の不正利用を確実に防ぎます。
  • 登録された利用時間帯以外の入退室をシステムで制御します。

● 防犯カメラとAIの活用

  • トレーニングエリア全体、出入口、共用スペースを死角なくカバーするように設置します。更衣室内部はプライバシー保護の観点から設置できませんが、入口付近の監視は盗難抑止に繋がります。
  • AIカメラを活用し、転倒、倒れ込み、長時間動かないといった異常事態を自動検知し、スタッフや警備会社へ通知するシステムが有効です。
  • 利用者間のトラブル発生時の証拠映像としても活用できます。

● 緊急時対応体制の構築

  • 緊急通報ボタンを店内の複数箇所(トレーニングエリア、更衣室付近、トイレ付近など)に設置します。
  • AED(自動体外式除細動器)を設置し、その場所を分かりやすく表示します。
  • 警備会社と連携し、緊急通報時に迅速に駆けつけるサービスを導入します。遠隔での声かけが可能なシステムも有効です。

● 設備管理と利用者への注意喚起

  • トレーニング器具の定期的な点検・メンテナンスを実施し、破損を未然に防ぎます。
  • 利用ルールやマナー、緊急時の対応方法などを分かりやすく掲示し、利用者の防犯意識と安全意識を高めます。


安全で快適なトレーニング環境を提供するためには、これらの多角的な対策が不可欠です。


無人コインランドリーの防犯対策

無人コインランドリーは、誰でも比較的自由に出入りできるため、洗濯機・乾燥機・両替機などの設備破壊や金銭盗難のリスクがあります。また、洗濯物の盗難、深夜の溜まり場化による治安悪化、不法占拠、ゴミの不法投棄、火災なども懸念されます。
対策としては、以下の点が重要です。



● 防犯カメラによる監視強化

  • 店内全体を見渡せる位置、両替機周辺、洗濯機・乾燥機エリア、出入口に設置します。夜間でも鮮明に撮影できる高画質・赤外線カメラが必須です。
  • 「防犯カメラ作動中」のステッカーを目立つ場所に貼り、犯罪抑止効果を高めます。

● 設備の保護

  • 破壊に強い頑丈な両替機や集金ボックスを選定します。
  • 機器への衝撃やこじ開けを検知する破壊検知センサーを設置し、異常があれば警報を発したり、警備会社へ通報したりする仕組みを導入します。

● 環境整備と利用ルールの徹底

  • 店内を常に明るく保ち、定期的な清掃で清潔な環境を維持することが、溜まり場化や不法投棄の抑止に繋がります。
  • 「長時間の滞在禁止」「ゴミの持ち帰り」「深夜の私語禁止」などの利用ルールを明確に掲示します。

● 入退室管理の検討

  • 利便性とのバランスを考慮する必要がありますが、特に治安に不安のあるエリアや深夜帯においては、限定的な入退室管理(例: 専用アプリ認証、暗証番号入力など)の導入も選択肢となります。

● 緊急・防災対策

  • 緊急通報ボタンの設置や警備会社との連携は必須です。
  • 乾燥機からの発火リスクに備え、火災報知器や消火器の設置、定期点検を徹底します。


利用者の利便性を損なわずに、いかに安全性を確保するかがコインランドリー防犯の鍵となります。


無人コワーキングスペースの防犯対策

無人コワーキングスペースでは、会員以外の不正利用や時間外利用に加え、PCや重要書類などの機密情報・個人情報の漏洩・盗難リスクが特に懸念されます。モニターや文具などの備品盗難、ネットワークへの不正アクセス、特定の利用者の長時間占拠なども問題となり得ます。
効果的な対策は以下の通りです。


● 高度な入退室管理システム

  • 顔認証やスマートロックなどを利用した厳格な本人確認を行い、登録会員以外の入室を完全に防ぎます。
  • 利用プランに応じた利用時間やアクセス可能エリア(会議室、個室など)をシステムで制御します。

● 防犯カメラとプライバシーへの配慮

  • ワークスペース全体、出入口、共有設備(複合機、ドリンクバーなど)周辺に防犯カメラを設置します。
  • ただし、利用者のプライバシーに配慮し、個々のデスクやPC画面が直接映り込まないような画角設定が求められます。

● 情報セキュリティ対策

  • 安全性の高いWi-Fi環境(暗号化、利用者ごとの分離など)を提供し、定期的なセキュリティチェックを実施します。
  • ネットワークへの不審なアクセスを監視するシステムを導入します。
  • 機密性の高い作業を行える個室ブースや、貴重品・PCを保管できる鍵付きロッカーを設置します。
  • シュレッダーを設置し、不要になった書類からの情報漏洩を防ぎます。

● 備品管理と利用ルールの明確化

  • 貸し出し備品(モニター、ケーブル類など)の管理台帳を作成し、利用状況を把握します。
  • 利用規約において、機密保持の義務や禁止事項(覗き見、無断撮影など)を明確に定め、周知徹底します。
  • 不正利用や迷惑行為に対するペナルティを設けます。


利便性や快適性だけでなく、高度なセキュリティを確保することが、無人コワーキングスペースの信頼性と競争力に繋がります。


無人店舗の防犯対策 成功事例紹介

無人店舗の運営において、防犯対策は避けて通れない重要な課題です。ここでは、先進的な技術や工夫を取り入れ、セキュリティ強化に成功した無人店舗の事例を具体的にご紹介します。これらの成功事例から、自店舗に合った効果的な防犯対策のヒントを得ましょう。


事例1 最新AIカメラで万引きを大幅削減した無人コンビニエンスストア

都心部で24時間営業を行うある無人コンビニエンスストアでは、開店当初、頻発する万引き被害に悩まされていました。従来の防犯カメラでは、死角が多く、犯行の瞬間を捉えても人物特定が困難なケースが後を絶ちませんでした。そこで、店舗オーナーは最新のAIカメラシステムの導入を決断しました。
導入されたAIカメラは、不審な行動パターン(棚の前での異常な滞留、商品を隠すような動作など)を自動で検知し、管理者にリアルタイムでアラートを送信する機能を備えています。さらに、複数カメラの映像を統合し、人物の動線を追跡することも可能です。これにより、万引きの発生を未然に防いだり、発生した場合でも迅速な証拠確保が可能になりました。
また、AIによる顧客の属性分析データ(匿名化処理済み)を活用し、時間帯ごとの客層に合わせた商品陳列やレイアウト変更を実施。これにより、顧客満足度向上と同時に、死角を減らし見通しを良くすることで、万引きしにくい環境を作り出すことにも成功しました。



項目

内容

店舗業種

無人コンビニエンスストア

抱えていた課題

・頻発する万引き被害
・従来の防犯カメラでは証拠特定が困難
・死角の多さ

導入した対策

・AIカメラシステム(不審行動検知、リアルタイムアラート、動線追跡)
・AIによる顧客属性分析に基づいた店舗レイアウト改善

得られた効果

万引き件数が導入前の約80%削減
・万引きの抑止効果向上
・迅速な証拠確保体制の構築
・従業員の映像確認負担軽減
・店舗レイアウト改善による防犯性向上


事例2 入退室管理と遠隔監視で安全な空間を実現した24時間無人フィットネスジム

郊外に立地する24時間営業の無人フィットネスジムでは、会員以外の不正利用や深夜帯のセキュリティ確保が大きな課題でした。特に女性会員からは、深夜利用時の安全性に対する不安の声が寄せられていました。そこで、厳格な入退室管理システムと遠隔監視体制を組み合わせた防犯対策を導入しました。
まず、入り口にはスマートフォンアプリと連携したスマートロック及び顔認証システムを導入。これにより、登録会員のみが入室可能となり、不正利用者を物理的にシャットアウトしました。会員登録時には、公的身分証明書による本人確認を徹底しています。
さらに、ジム内には高画質・広角の監視カメラを複数台設置し、クラウド経由で本部スタッフが常時遠隔監視できる体制を構築。カメラにはマイクとスピーカーが内蔵されており、必要に応じて本部から利用者に声かけを行うことも可能です。また、緊急通報ボタンを複数箇所に設置し、押されると即座に警備会社へ通報され、警備員が駆けつける仕組みも導入しました。




項目

内容

店舗業種

24時間無人フィットネスジム

抱えていた課題

・会員以外の不正利用
・深夜帯のセキュリティ不安(特に女性会員)
・トラブル発生時の対応遅延

導入した対策

・スマートロックと顔認証による厳格な入退室管理
・徹底した本人確認プロセス
・高画質カメラによる遠隔監視システム(クラウド録画、双方向音声機能付き)
・緊急通報ボタン設置と警備会社連携

得られた効果

不正利用の完全排除
会員(特に女性)の安心感向上と満足度アップ
・トラブル発生時の迅速な状況把握と対応
・24時間安全な運営体制の確立によるブランドイメージ向上



事例3 地域連携と防犯システムで安心運営を実現した無人コインランドリー

住宅街にある無人コインランドリーでは、洗濯機・乾燥機の破壊や盗難、ゴミの不法投棄、深夜の若者の溜まり場化といった問題が発生していました。利用者のマナー低下は、他の利用者の足が遠のく原因にもなり、売上にも影響が出始めていました。
この店舗では、まず破壊行為に強いドーム型の高耐久性防犯カメラを複数設置し、死角をなくしました。加えて、機器への衝撃を検知する破壊検知センサーや、深夜の人の動きを捉える人感センサーを導入。センサーが異常を検知すると、店内に設置されたスピーカーから自動で警告アナウンスが流れると共に、オーナーのスマートフォンに通知が届く仕組みを構築しました。
さらに、店舗オーナーは地域住民や近隣店舗、警察との連携強化にも力を入れました。「防犯協力の店」ステッカーを掲示し、地域の防犯パトロールへの情報提供や、定期的な警察官の巡回を依頼。これにより、地域全体で見守る体制を作り上げ、犯罪を未然に抑止する効果を高めました。


項目

内容

店舗業種

無人コインランドリー

抱えていた課題

・設備破壊、盗難
・ゴミの不法投棄
・深夜の溜まり場化
・利用者マナーの低下とそれに伴う売上減

導入した対策

・高耐久性防犯カメラの設置
・破壊検知センサー、人感センサーの導入
・センサー連動の自動警告アナウンスシステム
・オーナーへのリアルタイム通知
・地域住民、近隣店舗、警察との連携強化(防犯協力ステッカー掲示、情報共有、巡回依頼)

得られた効果

設備破壊や不法投棄の大幅な減少
・深夜の迷惑行為の抑制
・清潔で安全な店舗環境の維持
地域との良好な関係構築による防犯抑止力の向上
・利用者マナーの改善と安心感向上による売上回復


防犯対策を怠った場合のリスクと失敗談

無人店舗の運営において、防犯対策はコスト削減や利便性向上の基盤となる極めて重要な要素です。人件費を抑えられるメリットがある一方で、スタッフが常駐しないことによるセキュリティリスクは常に存在します。その重要性を軽視し、初期投資やランニングコストを惜しんで対策を怠ると、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。この章では、実際に起こりうるトラブル事例と、対策不足がもたらす深刻なリスクについて詳しく解説します。


実際に起きたトラブル事例

防犯対策が不十分な無人店舗では、以下のようなトラブルが実際に発生しています。これらは単なる「可能性」ではなく、いつ自店舗で起きてもおかしくない現実の脅威です。


● 高額・大量万引きの横行:「誰も見ていないだろう」という心理が働きやすく、万引きのリスクは有人店舗以上に高まります。特に、防犯カメラが設置されていない、あるいはダミーカメラや低画質のカメラしか設置していなかった店舗では、高額商品が繰り返し盗難されたり、複数人による計画的な大量万引きが発生したりするケースが後を絶ちません。被害が発覚しにくいため、犯行がエスカレートし、常習化する傾向があります。

● 設備の破壊・汚損、いたずら:入退室管理システムが導入されていない、あるいは認証が甘い店舗では、不特定多数の人物が容易に出入りできてしまいます。その結果、自動ドアや券売機、セルフレジ、商品棚などが破壊されたり、壁に落書きされたり、店内にゴミを散乱させられたりといった、悪質ないたずらの被害に遭うことがあります。修理費用がかさむだけでなく、店舗のイメージダウンにも繋がり、一時的な営業停止に追い込まれることも少なくありません。

● 不正利用・不法占拠:24時間営業の無人店舗が、ホームレスの寝泊まり場所や、未成年者の深夜のたまり場として利用されてしまう事例が報告されています。本来の利用者以外が長時間滞在することで、他の利用者が不安や不快感を覚えて足が遠のいてしまうだけでなく、騒音やゴミ問題で近隣住民とのトラブルに発展することもあります。最悪の場合、薬物取引やその他の犯罪の温床となる可能性も否定できません。

● 従業員や関係者による内部不正:外部からの侵入や犯罪行為だけでなく、従業員や清掃業者、メンテナンス業者など、内部の人間がセキュリティの穴を突いて不正行為(売上金の窃盗、在庫の横流しなど)を行うケースも考えられます。入退室記録や操作ログの管理、監視体制が不十分だと、不正の発見が遅れ、被害が拡大する恐れがあります。


対策不足が招く経済的損失と信用の失墜

防犯対策の不備は、単発的なトラブルによる直接的な被害にとどまらず、事業の存続そのものを脅かす深刻な影響をもたらします。「少しぐらい大丈夫だろう」という甘い見通しが、結果的に大きな代償を払うことになりかねません。
具体的なリスクとしては、以下の点が挙げられます。

リスクの種類

具体的な内容と影響

直接的な経済損失

盗難された商品の仕入れ費用、破壊された設備の修理・交換費用、汚損された店舗の清掃・原状回復費用など、直接的な金銭被害が発生します。被害額が大きくなれば、店舗の収益性を著しく悪化させ、経営を圧迫します。

営業機会の損失

設備の復旧作業、警察による現場検証、大規模な清掃などが必要になった場合、長期間の営業停止を余儀なくされる可能性があります。その間の売上機会を完全に失うことになり、固定費の支払いだけが続くことになります。

信用の失墜と顧客離れ

「あそこは万引きが多いらしい」「夜は治安が悪くて怖い」「管理が行き届いていない」といったネガティブな評判や口コミが広がると、顧客は安心して利用できなくなり、客足が遠のきます。特にSNSなどで情報が拡散されると、一度失った信用を取り戻すのは極めて困難です。

ブランドイメージの低下

特にフランチャイズや多店舗展開している場合、一つの店舗で発生した防犯上の不祥事やトラブルが、ニュースやネットで報じられることで、ブランド全体のイメージを大きく損なう可能性があります。他の店舗の売上にも悪影響を及ぼしかねません。

追加コストの発生

トラブル発生後、慌てて高性能な防犯カメラシステムや高度な入退室管理システムを導入したり、警備会社の駆けつけサービスを契約したりする必要に迫られることがあります。結果的に、計画的に対策を行うよりも高額な費用が発生するケースが少なくありません。また、被害発生により、損害保険料が値上がりする可能性もあります。

近隣との関係悪化

店舗での騒音、ゴミの散乱、治安の悪化などが原因で、近隣住民や商店、同じ建物内の他のテナントから苦情が寄せられることがあります。関係が悪化すると、店舗運営そのものが難しくなり、最悪の場合、撤退を求められる可能性も出てきます。

訴訟リスク

店舗の管理不備が原因で顧客が何らかの被害(例:不審者による危害、個人情報漏洩など)を受けた場合、損害賠償請求訴訟を起こされるリスクもゼロではありません。


このように、無人店舗における防犯対策を怠ることは、短期的なコスト削減どころか、将来的に莫大な損失と事業継続の危機を招く可能性があることを、経営者は強く認識し、適切な投資と運用体制の構築に努める必要があります。


無人店舗の防犯対策に関するよくある質問 FAQ

無人店舗の運営にあたり、多くのオーナー様が抱える防犯対策に関する疑問について、Q&A形式で詳しく解説します。基本的な疑問から、具体的な運用に関する質問まで、幅広くお答えしていきます。


防犯カメラの映像はどのくらい保存すべきか

防犯カメラの映像保存期間については、法律で明確な定めはありません。しかし、万が一のトラブル発生時に証拠として活用するため、また事件や不正行為が発覚するまでの時間を考慮すると、最低でも1ヶ月、可能であれば2〜3ヶ月程度の保存が推奨されます。
保存期間は、主に以下の要素によって決定されます。


● トラブル発生から発覚までの期間:万引きや内部不正などは、すぐには発覚しないケースもあります。後日調査が必要になった際に、映像が残っていることが重要です。

● 警察からの捜査協力依頼:周辺で事件が発生した場合など、警察から映像提供を求められる可能性があります。その際に協力できる体制を整えておくことが望ましいです。

● データ容量とコスト:高画質で長期間保存する場合、ハードディスク容量やクラウドストレージのコストが増加します。費用対効果を考慮し、適切な保存期間と画質を設定する必要があります。


保存方法には、レコーダー(DVR/NVR)のハードディスクに保存するローカル保存と、インターネット経由でサーバーに保存するクラウド保存があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、店舗の状況に合わせて選択しましょう。


項目

ローカル保存 (レコーダー)

クラウド保存

初期費用

レコーダー本体の費用が必要(比較的高め)

カメラ本体費用のみ(比較的安価な場合が多い)

月額費用

基本的に不要(電気代のみ)

プランに応じた月額費用が必要

データ消失リスク

レコーダーの故障・盗難・破壊により消失するリスクあり

サービス提供事業者のサーバーで管理されるため、物理的な消失リスクは低い

遠隔アクセス

設定や機器により可能

容易に可能(スマホやPCから確認)

容量拡張

HDD交換が必要

プラン変更で容易に対応可能


映像のプライバシーへの配慮も重要です。設置場所や撮影範囲、映像データの管理方法については、個人情報保護法のガイドラインなどを参考に、適切な運用を心がけてください。


警備会社はどこを選べばよいか

無人店舗のセキュリティレベルを向上させる上で、警備会社との連携は非常に有効な手段です。しかし、多くの警備会社が存在するため、どの会社を選ぶべきか迷うこともあるでしょう。警備会社を選ぶ際の主なポイントは以下の通りです。


● 駆けつけ時間:異常発生時に、警備員がどれくらいの時間で現場に到着できるかは最も重要な要素の一つです。契約前に、店舗所在地までの平均駆けつけ時間を確認しましょう。一般的に、拠点が多い大手警備会社(例:セコム、アルソックなど)や、地域密着型の警備会社は比較的早い傾向にあります。

● 料金体系:初期費用(機器設置費など)と月額費用(警備料、機器レンタル料など)を確認します。プランによってサービス内容や料金が異なるため、複数の会社から見積もりを取り、サービス内容と料金を比較検討することが重要です。オプション料金(駆けつけごとの費用など)の有無も確認しましょう。

● サービス内容:基本的な異常検知・駆けつけサービスに加え、どのようなサービスが提供されるか確認します。例えば、定期巡回、遠隔監視サポート、入退室管理システムとの連携、損害保険の付帯など、店舗の業態やリスクに応じたサービスが含まれているかを確認しましょう。

● 実績と信頼性:無人店舗の警備実績が豊富か、企業の信頼性はどうかなどを確認します。導入事例や口コミ、契約年数なども参考になります。

● 対応エリア:自店舗の所在地が、警備会社のサービス対応エリアに含まれているかを確認する必要があります。


まずは、自店舗の業種、規模、立地、想定されるリスクなどを明確にし、必要なセキュリティレベルを定義することが大切です。その上で、上記のポイントを参考に、複数の警備会社に相談し、最適なパートナーを選びましょう。


トラブル発生時の対応フローは

無人店舗で万引き、破壊行為、不正利用などのトラブルが発生した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。事前に対応フローを明確にしておくことで、被害の拡大を防ぎ、スムーズな事後処理につながります。
一般的なトラブル発生時の対応フロー例は以下の通りです。


1.異常検知

  • 防犯カメラの動体検知、AIによる異常行動検知
  • 各種センサー(人感、侵入、破壊検知)による異常信号
  • 利用者からの緊急通報ボタンによる通知

2.状況確認(遠隔)

  •  遠隔監視システムを通じて、リアルタイムで現地の状況を防犯カメラ映像で確認します。
  • 必要に応じて、スピーカーを通じて警告を発することも有効です。

3.関係各所への連絡・通報

  •   緊急性が高い、または犯罪行為が明確な場合(侵入、強盗、破壊行為など):直ちに警察(110番)および契約している警備会社に通報します。
  •  不正利用や軽微なトラブルの場合:状況に応じて、警備会社への連絡や、オーナー自身での対応を判断します。
  • (従業員がいる場合)従業員への連絡と指示を行います。

4.現場対応

  • 警備会社に依頼している場合:警備員が現場に駆けつけ、状況確認、警察への引き継ぎ、応急処置などを行います。
  • オーナー自身が対応する場合:安全を最優先し、決して犯人と直接対峙しようとせず、警察や警備員の到着を待つようにしてください。

5.証拠保全

  • 防犯カメラの映像データを確実に保存・バックアップします。
  • 現場の状況を写真などで記録します。

6.事後処理

  • 警察への被害届の提出。
  • 保険会社への連絡(保険に加入している場合)。
  • 設備の復旧、清掃。
  • 再発防止策の検討と実施。

このフローはあくまで一例です。店舗の状況や契約しているサービス内容に合わせて、より具体的な対応マニュアルを作成し、関係者間で共有しておくことが重要です。定期的な防犯訓練やシミュレーションを実施することも、いざという時の冷静な対応につながります。


まとめ

無人店舗の普及に伴い、万引きや破壊行為といった特有のリスクへの対策は不可欠です。防犯カメラや入退室管理システム、各種センサーの導入、警備会社との連携は基本的な対策となります。初期費用やランニングコストを考慮し、費用対効果の高いセキュリティ構築が求められます。業種別のポイントや成功事例を参考に、自店舗に最適な対策を講じることが、経済的損失や信用の失墜を防ぎ、安全な店舗運営を持続させる上で極めて重要です。本記事で解説した内容を踏まえ、効果的な防犯体制を構築しましょう。


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