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「自治体の“見回り・巡回”業務はどこまでDXできるのか?」

自治体の巡回業務は、地域の安全と住民の生活環境を守る上で欠かせません。しかし、人手不足や高齢化、アナログな運用方法が長年の課題でした。本記事では、「自治体の“見回り・巡回”業務はどこまでDXできるのか?」という問いに対し、その可能性と具体的な解決策を徹底解説します。AI、IoT、ドローン、モバイルアプリといった最新技術を導入することで、巡回業務は劇的に効率化され、職員の負担軽減と住民サービスの向上を同時に実現できることが分かります。導入費用や費用対効果、職員のスキルアップ、セキュリティ対策といったDX推進の重要なポイントも網羅し、貴自治体の業務改善に貢献する具体的なヒントを提供します。

自治体の巡回業務とはどのようなものか

自治体における巡回業務とは、住民の安全・安心な暮らしを守り、地域社会の健全な維持・発展を支えるために、職員が管轄区域内を定期的に、あるいは必要に応じて巡回し、状況確認や点検、住民とのコミュニケーションを行う一連の活動を指します。道路や河川といった公共インフラの維持管理から、公園や公共施設の点検、さらには地域の防犯・防災、環境衛生の維持、高齢者などの安否確認まで、その範囲は多岐にわたります。これらの業務は、地域住民の生活に密接に関わるため、自治体の重要な基盤業務の一つとして位置づけられています。

自治体における巡回業務の主な種類

自治体が行う巡回業務は、その目的や対象によって様々な種類に分けられます。以下に主な業務内容をまとめました。

巡回業務の種類

主な業務内容

道路・インフラ点検

道路、橋梁、河川、上下水道などの損傷や劣化状況の確認

公園・公共施設管理

公園設備、街路樹、公共施設の不具合や危険箇所の確認

環境衛生パトロール

ごみ収集場所、不法投棄、害虫発生状況、公衆衛生状態の確認

福祉・安否確認

高齢者や要配慮者の訪問、声かけ、生活状況や安否の把握

防災・防犯パトロール

災害リスク箇所、不審者情報、防犯設備の確認、地域安全の確保

農地・林地管理

耕作放棄地、病害虫、森林の健全性、鳥獣被害の状況確認

違法屋外広告物点検

景観を損なう違法な広告物の有無、状態の確認

従来の巡回業務が抱える課題

長年にわたり自治体の重要な役割を担ってきた巡回業務ですが、従来のやり方では多くの課題を抱えています。これらの課題が、業務の効率性や住民サービス品質の低下に繋がりかねないため、早急な対策が求められています。

  • 人手不足と職員の高齢化: 多くの自治体で職員の高齢化が進み、若手職員の確保が困難となっています。これにより、巡回業務を担う人員が減少し、一人あたりの業務負担が増大しています。
     
  • 広範囲かつ多頻度な巡回: 限られた人員で広大なエリアを定期的に巡回する必要があり、物理的な移動時間や労力が大きく、効率的な巡回が難しい現状があります。
     
  • 情報共有の遅延と非効率性: 巡回結果の記録が紙ベースであったり、口頭での報告に頼ったりすることが多く、情報共有に時間がかかり、リアルタイムでの状況把握が困難です。これにより、緊急時の迅速な対応が遅れるリスクも伴います。
     
  • 記録・報告業務の煩雑さ: 巡回中に発見した異常箇所の写真撮影、詳細なメモ、帰庁後の報告書作成など、記録・報告業務に多くの時間と労力が費やされ、本来の巡回業務を圧迫しています。
     
  •  経験や勘への依存: 特定の熟練職員の知識や経験に頼る部分が大きく、ノウハウの継承が属人化しており、異動や退職によって業務品質が低下するリスクがあります。
     
  • 緊急時対応の遅れ: 異常を発見してから関係部署への連絡、そして対応までのプロセスに時間を要することが多く、迅速な初動対応が困難な場合があります。特に災害時などには、この遅れが住民の安全に直結する可能性もあります。
     
  • コストの増大: 巡回車両の燃料費、維持費、人件費など、巡回業務にかかる運用コストは増加傾向にあり、限られた予算の中で効率的な運営が求められています。

  

自治体巡回業務におけるDXの可能性

自治体の巡回業務は、住民の安全・安心な暮らしを守る上で不可欠な役割を担っています。しかし、少子高齢化による職員の減少や熟練技術者の引退、予算の制約といった課題に直面しており、従来の運用方法では持続可能性が危ぶまれるケースも少なくありません。このような背景から、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が、巡回業務の未来を切り拓く鍵として注目されています。

DXは単なるデジタルツールの導入に留まらず、業務プロセスそのものを根本から見直し、データとテクノロジーを最大限に活用することで、巡回業務のあり方を大きく変革する可能性を秘めています。これにより、職員の負担軽減、業務の効率化、住民サービスの向上といった多岐にわたるメリットが期待されます。

DXがもたらす巡回業務の変革

DXが自治体の巡回業務にもたらす変革は、多岐にわたります。最も顕著な変化は、「経験と勘」に頼りがちだった業務から、「データに基づいた客観的な判断」へと移行できる点です。これにより、より正確で効率的な巡回計画の策定や、問題の早期発見・早期対応が可能となります。

具体的な変革のポイントは以下の通りです。

変革の側面

DXによる変化

業務効率

巡回時間の短縮

業務効率

人員配置の最適化

コスト

運用コスト削減

精度

データに基づく判断

精度

ヒューマンエラー減

安全性

危険作業の軽減

安全性

リアルタイム監視

サービス

住民対応の迅速化

サービス

住民満足度向上

管理

資産の予兆保全

管理

予防的措置の強化

これらの変革を通じて、自治体は限られたリソースの中で、より質の高い住民サービスを提供し、持続可能な地域社会の実現に貢献することができます。例えば、IoTセンサーやAI画像解析を活用することで、インフラ設備の劣化状況を自動で検知し、計画的な修繕を行う「予兆保全」が可能になります。これにより、突発的な故障による大規模な影響を未然に防ぎ、住民生活への影響を最小限に抑えることができます。

また、職員は定型的な巡回業務から解放され、より専門性が求められる業務や住民との対話など、付加価値の高い業務に注力できるようになります。これは、職員のモチベーション向上にも繋がり、自治体全体の「働き方改革」を推進する上でも重要な要素となります。データの一元管理と共有は、部署間の連携を強化し、迅速な意思決定を支援することで、行政サービスの全体的な質を高めることにも寄与します。

 

巡回業務DXの具体的なソリューションと導入事例

自治体の巡回業務におけるDXは、多岐にわたる先進技術の導入によって、その可能性を大きく広げています。ここでは、具体的なソリューションと、国内での導入事例を紹介します。

AIやIoTを活用した巡回支援システム

AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)技術は、巡回業務の効率化と質の向上に不可欠な要素となっています。IoTセンサーがインフラ設備や環境の変化をリアルタイムで検知し、AIがそのデータを分析することで、異常の早期発見や予兆保全を可能にします。これにより、職員は危険な場所での作業を減らし、より戦略的な巡回計画を立てることができます。

具体的な活用例としては、河川の水位センサーによる遠隔監視や、橋梁などの構造物に設置されたセンサーによる劣化状況のモニタリングが挙げられます。また、AIを活用した画像解析は、ドローンで撮影された映像からひび割れや損傷を自動で検出し、点検作業の精度と速度を飛躍的に向上させます。香川県内では、ICT技術を活用した建設現場での研修会が開催され、デジタルツールを用いた現地管理の可能性が示されています。

これらのシステムは、単なるデータの収集に留まらず、AIによる分析を通じて、次に巡回すべき場所や点検すべき項目を優先順位付けするなど、巡回ルートの最適化にも貢献します。これにより、限られた人員で広範囲の巡回を効率的に実施することが可能になります。

ドローンによる広域巡回と点検

ドローンは、人が立ち入りにくい場所や広範囲の巡回・点検において、その真価を発揮します。特に、インフラ施設の老朽化対策や災害時の状況把握において、その活用は急速に広がっています。

例えば、橋梁の定期点検にドローンを導入する自治体が増えています。これにより、足場を組むなどの高所作業が不要となり、点検コストの大幅な削減と作業員の安全確保を実現しています。ある自治体では、職員自らがドローンを操作して橋梁点検を行い、老朽化対策と点検コスト削減を目指し、実運用を開始した事例があります。

また、国土交通省の事例では、ドローンを用いて河川構造物(橋梁、堰など)の点検や、地すべり災害における緊急調査・被災状況把握が行われています。特に、GPSが入りにくい橋梁の桁下点検など、これまで困難だった箇所の調査にも期待が寄せられています。 さらに、災害発生時には、ドローンが被災地の状況を俯瞰的に撮影し、迅速な情報収集と初動対応に貢献します。KDDIスマートドローン株式会社の事例でも、砂防施設の巡視点検やダム建設現場の測量・監視など、多岐にわたるドローン活用が紹介されています。

遠隔操作や自動飛行が可能なドローンは、巡回業務の省人化と効率化を強力に推進するソリューションです

モバイルアプリを活用した情報共有と報告

巡回現場と本部とのスムーズな情報共有は、業務の迅速化と正確性の向上に不可欠です。モバイルアプリは、巡回職員が現場で得た情報をリアルタイムで入力・共有するための強力なツールとなります

スマートフォンやタブレットにインストールされたモバイルアプリを使用することで、職員は現場で撮影した写真や動画、GPS位置情報、状況報告などを即座にシステムに登録できます。これにより、紙媒体での報告書作成や事務所に戻ってからのデータ入力といった手間が削減され、業務効率が大幅に向上します

住民からの要望を受け付け、その対応状況を管理する「住民要望システム」では、現場の職員がモバイルデバイスから状況を更新し、住民もその進捗をオンラインで確認できる仕組みが導入されています。 また、災害情報共有アプリでは、住民からの被害報告をリアルタイムで受け付け、自治体内で迅速に共有することで、災害時の対応力を強化しています。 これらのアプリは、巡回業務における情報共有の質を高め、迅速な意思決定と対応を支援します

国内自治体の巡回業務DX成功事例

日本国内の多くの自治体で、巡回業務のDXに向けた取り組みが進められています。ここでは、具体的な成功事例をいくつか紹介します。

自治体名

DX内容

導入効果

ある自治体

ドローンによる橋梁点検

点検コスト削減、作業安全向上

香川県内

ICT施工による現場管理

現地でのデジタル活用を推進

山梨県上野原市

グループウェア導入

庁内の情報共有・業務効率化

別府市

RFIDによる備蓄物資管理

入出庫・賞味期限管理を効率化

これらの事例は、ドローンによる物理的な巡回・点検の効率化、AI・IoTによるデータに基づいた監視、そしてモバイルアプリによる現場と本部の連携強化といった、多角的なアプローチで巡回業務のDXを推進していることを示しています。各自治体の状況に応じた最適なソリューションを選定し、段階的に導入を進めることが成功の鍵となります

 

自治体が巡回業務DXを進める上でのポイント

自治体の巡回業務においてDXを成功させるためには、単に最新技術を導入するだけでなく、多角的な視点からの検討と準備が不可欠です。ここでは、特に重要となる3つのポイントについて詳しく解説します。

導入費用と費用対効果の検討

DX推進には初期投資が伴うため、その費用が将来的にどのような効果をもたらすのかを慎重に評価することが極めて重要です。短期的なコスト削減だけでなく、長期的な視点でのメリットを総合的に判断する必要があります。

検討すべき項目は多岐にわたりますが、例えば以下のような視点から評価を進めることができます。

評価項目

考慮点

初期導入費

システム購入費

初期導入費

デバイス費用

初期導入費

設置工事費

運用維持費

保守管理費

運用維持費

通信費用

運用維持費

ライセンス料

期待効果

人件費削減

期待効果

業務効率化

期待効果

データ精度向上

期待効果

住民満足度向上

期待効果

災害対応強化

特に、人件費の削減効果や業務時間の短縮、点検精度の向上といった直接的な効果に加え、住民サービスの質向上や災害時の迅速な状況把握能力の強化といった無形の価値も費用対効果の評価に含めるべきです。例えば、適切な予防保全によりインフラの長寿命化が図られれば、将来的な大規模修繕費用の抑制にも繋がります。これらの効果を定量的に測定し、導入費用と比較検討することで、投資の妥当性を明確にすることができます。

職員のスキルアップと意識改革

どんなに優れたDXツールを導入しても、それを使いこなす職員がいなければ真価を発揮できません。そのため、職員のスキルアップと意識改革はDX成功の鍵となります。

スキルアップのための具体的な取り組み

新しいシステムやデバイスの操作方法はもちろん、収集されたデータの分析方法や、それに基づいた課題解決能力の育成が求められます。定期的な研修プログラムの実施や、eラーニングの導入を通じて、職員が自身のペースで学習できる環境を整備することが有効です。また、先進事例を学ぶ機会を設けることも、スキルアップを促進します。

意識改革の重要性と推進方法

DXは単なるツールの導入ではなく、業務プロセス全体の変革を意味します。これまでの慣習にとらわれず、新しい働き方を受け入れる意識を醸成することが不可欠です。変化への抵抗感を軽減するためには、DX導入の目的やメリットを職員に丁寧に説明し、共感を得ることが重要です。管理職層が率先してDXの意義を理解し、模範を示すことで組織全体の意識改革を促すことができます。さらに、現場職員からの意見やアイデアを積極的に吸い上げ、改善に繋げることで、当事者意識を高め、DX推進へのモチベーションを向上させることが可能です。

セキュリティ対策とデータ保護

巡回業務のDXでは、住民の個人情報や公共インフラに関する機密性の高いデータが多数取り扱われます。これらのデータを安全に管理し、保護することは、自治体としての信頼性を維持する上で最も重要な課題の一つです。

データ収集・保管における注意点

どのようなデータを、どのような目的で収集するのかを明確にし、必要最小限のデータ収集に留めるべきです。収集されたデータは、厳格なアクセス制御が施された安全な環境で保管する必要があります。クラウドサービスを利用する場合は、サービスのセキュリティレベルやデータセンターの所在地、運用体制などを十分に確認し、自治体の情報セキュリティポリシーに適合しているかを確認することが不可欠です。

情報漏洩を防ぐための技術的・組織的対策

技術的な対策としては、通信経路や保管データの暗号化、多要素認証の導入、不正アクセス監視システムの導入などが挙げられます。また、万一の事態に備え、定期的なデータのバックアップと、災害時やシステム障害発生時のデータ復旧計画を策定しておく必要があります。組織的な対策としては、情報セキュリティに関する職員研修を定期的に実施し、セキュリティ意識の向上を図ること、情報セキュリティポリシーを策定し、それに従った運用を徹底することが求められます。さらに、個人情報保護法や地方公共団体における情報セキュリティガイドラインなどの法令・規範を遵守した運用体制を構築し、セキュリティインシデント発生時の対応フローを明確にしておくことが重要です。

 

まとめ

自治体の巡回業務は、住民生活の安全・安心を支える重要な役割を担っています。しかし、従来のやり方では、少子高齢化による人手不足や業務の非効率性といった課題に直面しています。DXは、これらの課題を解決し、業務効率化、情報共有の迅速化、そして住民サービスの向上を実現する強力な手段となります。AI、IoT、ドローン、モバイルアプリといった先進技術を適切に導入し、費用対効果を考慮しながら、職員の意識改革とセキュリティ対策を両立させることで、持続可能でより質の高い巡回業務体制を構築できるでしょう。

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